1/21 after six[13] 更新!!
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お久しぶりです。管理人のTOKINOです。
またしばらく放置してしまいましたが、その間、拍手など押していただきありがとうございます。

aftet six[11]を更新しましたーおまたせしました。
片山先生はひとりでしゃべってますね。

次回、高木くんと急展開……カモ。



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【2008/08/16 22:11】 | 更新情報
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食事の後、チトセと別れてから午後の授業に向かった。この授業を受ける度に思い出す事があって、私はその設問の答えがいまだに定まらない。私のゼミの指導教員でもある片山先生は若いくせに(といっても確か30歳前半)不思議な授業をする。

 たとえば、最初の授業のことだった。日本史の授業だったのだけれど、教科書はなかった。そのことに私たちは驚いた(今となっては教科書やレジュメがなくても驚かないけれど)。だって歴史の勉強っていったら、分厚い教科書を想像するでしょう。広くは無い教室で20人ほどの学生を前にして、一度メガネをかけなおした片山航平は名前と年齢だけの簡単すぎる自己紹介のあと、講義を開始した。出席も取らなかったし、欠席の人はいますか? なんてふざけた質問もしなかった。彼は板書をしなかったし、レジュメさえほとんど配らなかった。日本史の講義なのに年号や、高校までに習った固有名詞の類はめったに出てこなかった。

 さらに驚いたのはまだ4月だというのに、期末試験の設問について話をしたのだ。私は、何を言っているのか理解できなくてノートを取るのに一歩遅れたけど、そこで先生ったら、コッチ見て合図くれたあと、もう一度喋ってくれたの。なんか嬉しかった。で、その設問っていうのがこれ。

   『日本語と国語の違いについて述べよ』
 
 たったこれだけ。この1問だけ。これが、今時期から始まる試験の設問。文字数の指定もなし。学生達が戸惑うのも承知で、飛んでくる質問にも、あらかじめ用意しておいたような答えを返す片山先生を見て大学とは不思議なところだなぁ、と実感した。
 だから何か、他の先生の授業ってちょっと物足りない。どうしてみんな、教科書見ながら高校と同じレベルの授業しか展開できないのだろうと思う。
 片山先生の先生ってのがきっとスゴイ人だったんじゃないかと思う。
 ようするにおもしろい。

 テストだなんて思わなくていい。
 みんなが思っていることを、書いてくれるだけで結構だ。
 では、おもしろい回答を期待しているよ。じゃぁ終わり。
 ……というのが最初の講義だった。15分ほどで終了してしまった。


 教室に入っていつもの席に。前から3列目の右端ドア近くにいつも座る。前回の抗議で拾い集めたキーワードを記したルーズリーフに目を通した。先生は少しずつ、試験に向けてキーワードを発している。それをみんなきっと理解しているのだろうと思う。歴史を自分で読み解かせる授業。うーんいいね。片山先生大好き。
 時計の長針が、静かに8を指す。開始。廊下にあったノイズが次第にフェードアウトしていくように思えてから数分。のんびりとした足音が聞こえてきたら合図。あ。

「やぁおはよう、あ、もう昼か、ん? これかい? コンタクトにしてみたんだ」
 朗らかに登場しては、教壇ではなく、最前列の机に腰掛けてこちらを見ている。そのままビリヤードでも始められそうな雰囲気だ。手ぶらでやって来て板書もなしなら、突っ立っている意味がないと本人が認識したのだと思うケド、つくづくリバティな教員だなぁ、と思うよ。ちなみに私、メガネのほうが良かったな。でもコンタクトの調子が悪いときにメガネも見れるな。ふふふ。
「前はどこまで話したかな? ああ。日本がひとつになる時の話しだね。明治維新の話もしたね。テストはええと、補講があるからだいたい二週後からだね。と、いうことは今日は最後の講義かな。じゃあまず先週のおさらいから」
 そう言ってシャツの襟元を緩めてから両手を膝の上に置いた。私は椅子に背中を預けてリラックスしていた。ちょっとドキドキしてもいた。誰も話をしていない。窓から入ってくる風でカーテンがなびくだけだった。

「前にも話したけれど、みんなは小中高で、本を使って勉強したね。勉強というより暗記だね。太字になっているところにさらにマーカーで印を付けて、ここがテストに出るよ、って言われる。そんなものが歴史の勉強だなんて僕は信じなかった。そんなんだったら先生はどうして教科書を読んでいるのって……あぁ、話がずれたね。歴史の本質だよ。初回の授業でも言ったけれど、自分の歴史を読むのが歴史の勉強なんだ。例えば、教科書を作っている人物が感じる歴史と、それを読む人が感じる歴史は違うはずだ。だから僕はあの問題をだした。この国に二つの“語”がある謎だよ。そう、謎なんだ。英語は英語。じゃあ、僕らが使っているこの言葉は果たして国語なのか日本語なのか。それとも両方なのか。どう解釈するかな? 歴史にはね、答えなんかないんだよ。教科書の太字や年号を暗記させられたおかげで、それが答えであると誰もが勘違いをしているだけなんだ。もし答えがあるとしたら、それはその時代を生きていた人たちしか分からないことだよ。あ、うまいこと言ったね。僕たちはそれをただ眺めているだけに過ぎない」
 ここで一息つく。“私の歴史”とメモをしておく。


「そう。例えばこの教室にいる全員がそれぞれ別の国の出身の20人と仮定して、ひとつの、共通の作業を全く差異なく行い遂行するために必要なものは、なんだと思う?」



【2008/08/16 22:03】 | 小説『after six』
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倉田やえこ
読みにくるのがちょっと遅れてしまいました(> <)ごめんなさい。
また素敵な人が出てきましたね(^-^)
丁寧に丁寧に、物語が広がっていく感じが、
いいなぁって思います◎


倉田さんへ
TOKINO
お返事おくれてしまって、スミマセン!
あの先生は、私がお世話になった方をモデルにしています。
そして更新が停滞してしまってごめんなさい。
がんばります!


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