1/21 after six[13] 更新!!
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



 夜の10時。ライブハウス兼バーの2階ラウンジで、僕は久しぶりに呑んだ。たくさん呑んだってことだ。


 身体も心もアルコールに浸し、夢の世界へ入る。あまりこっちの世界に来ると、戻ってきたときのギャップにへこむので普段は我慢している。しかし今回はストレスも溜まっていたのか、歯止めが利かなかった。たまにはいいじゃないの、と言い聞かせてみた。


 お酒と音楽の相乗効果は想像以上だった。リズムに合わせて鼓動が早くなったり遅くなったりしているみたいなんだ。ボサノヴァがいいね。沁みるね!


 夢の世界で僕は、同じ世界に入り込んできたキナミ、高梨さん、中川とはしゃいだ。キナミはともかく、あの二人までネジがかっとぶなんて。おかなしな表現だけど、これは夢? とまで思った。丸いテーブルを囲んで笑いあう光景はどこか懐かしく、ほろ苦かった。どうでもいいようなことで小突きあったりしているのが、こんなにいいものだということを忘れていたみたいだ。


 アルコールってのも面白い。身体に注ぐと、その人特有のスイッチが入る。キナミは笑いが止まらないし、中川は高梨さんに抱きつくし、お酒はこぼすし。僕は僕で中川と踊りだすし。高梨さんはそれをみて笑うし。この人こんなに笑うんだ。


 1階席でバンドのセッションが始まった頃、注文したピザが届いたので今度はそれの取り合いになった。みんな大人げないよね。焼きたてのピザは、湯気と一緒に香ばしい生地と、ソースのにおいが立ち込め、僕たちの胃を刺激した。中川がフォークを使ってもまともにとりわけ出来なかったから、高梨さんが奪い取って、お皿に取り分けた。ミートソースが物凄い深い味わいで、僕は感動した! 感動した! タマネギも甘い! うまい! おかわり高梨さん! キナミ自分のを先に食べろ! 中川くっつくな! …………。


 店を出たとき、僕は立てなくなっていた。キナミと高梨さんに、まるで保護されてるみたいに、肩を借りている。なんでだろう? 中川さんと高梨さんはとっくに酔いが覚めていると思う。うっすらと、視界からみんなの足取りが見える。


 僕はまだ夢の中。


 そこで、とっくに現実に帰っていったみんなを探して、語りかけている。自分でも何を言っているのかわからない。僕が何か言うたびに、背中をさすられる感触を覚えた。中川だったのかな。結局、ピザを食べた後の記憶が吹っ飛んだまま、僕は自分のベッドで目を覚ました。


 起き上がる。しばらく夢が頭に貼りついたままだった。画鋲で留められている感じだった。次第に空腹を覚え、昼の13時だってことを知って納得する。そう。納得していないことと言えば……。


 僕はハっとした。どうやって家に帰ってきたのだろうか。膝に違和感を感じたのでパジャマをめくると(パジャマ? いつ着替えた?)湿布が貼ってあった。台所に行って水を飲み、思考を確保。普通に歩けるから、膝はたいした事はないらしい。高梨さんにはなんとなく聞きづらいし、キナミは絶対寝てるから、中川に電話した。


「なに?」

 ちょっとイラっとしているいつもの声に、プラス3イライラってところ。

「二日酔い?」

「うっさいわね。こっちは二日酔いでも働いてるのよ。何!? 切るわよ」

「なぁ、僕、どうやって家に帰ったんだ?」

 受話器からため息が聞える。

「あんたねぇ。覚えてないのね」

 落胆が消えて、硬質な声に変わる。

「ベロンベロンに酔って店を出た後、あんた階段から転がり落ちたのよ。全身打って。膝で着地してそのままポックリ。あら失礼。それで歩けなくなったから私たちが送ったのよ。メモ書き、見てないのね?」

「へ?」

「あとで見なさい。……高梨が持ってるマスターキーで鍵開けて、木南くんが担いで寝かせて、高梨が湿布貼って、私がカーテン閉めて、……って上がってごめんねぇ。ていうか、カーテンくらい閉めてでかけなさいよ」

「いや、問題ないよ。そうだったのか。ありがとう」

「まったくよ。二人にもお礼言っときなさいよ」

「あぁ、わかってる。じゃあ」


 そう言って僕は受話器を耳から遠ざけた。その時、中川が呼び止めた。

「ん?」

「あんたさ、店出た後のこと、ホントに何も覚えてないの?」

「え?」

 一瞬だけ、脳みそが凍った。どんなヤバイことを仕出かしたのだろうかと思った。


「何喋ったのかも覚えてないの?」

 変な汗が吹き出た。そんなにヤバイ事を喋ったのか。

「僕、何を喋ったの?」

「そう。覚えてないなら問題ないわね。もう、こういうことで電話かけてこないでね。じゃ」

「ちょっと! 気になる事言うなよ! あ! 待て!」


 僕が言い終わる前に、とっくに電話は切れていた。腑に落ちない気分で僕も受話器を置いた。キナミにも電話してみようかな、という考えが頭をよぎったけど、やめた。とりあえず、なにか食べよう。





----------------------------------------------------------------------------




『In The Dark』



地味にシリーズであと2作、別タイトルでありまして。

主人公もそれぞれ3人いまして。

その3人が語っていくお話なのです音譜



今回は、その断片を載せました。

あー、これもちゃんと書きたい。ストーリーとかちゃんとしたい。

不思議ミステリーです。

ミステリーの定義がわかりません。

謎があればミステリーでいいんでしょうかはてなマーク



この主人公の僕は、名前は出てないけど、叶くんという人物であります。

お酒が飲める年齢と思ってください。

高梨さんは、兄貴的存在。

中川は腐れ縁。

キナミは弟みたいな感じです。






このシリーズを書くときはたいてい宇多田ヒカルを聴いてます。

宇多田さんの曲って不思議なことに、いろんな世界にマッチします。

after six書いてるときは、stay goldとか良く聴いてます。


関係ないけど、アフターシックスと、映画アフタースクール。自分でも間違えます。



語りだすと止まらないので、このブログでこのシリーズが公開できるようになったら、小説で語らせていただきます。できたらいいな。

スポンサーサイト

【2008/06/16 02:29】 | 言葉『創作とは妄想だ』
トラックバック(0) |
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。